2025年11月19日

人に「気遣い」、木に「木遣い」。
それぞれの個性を活かして
人にも個性があるように、木にもいろいろな特性があります。また、1本の木でも部分によって性質は違ってきます。これらを見極め、それぞれを適した場所に使い分けることを「木遣い」といいます。
【1本の木でも…】
木材には表と裏があり、樹皮に近い側を「木表」、芯に近い側を「木裏」といいます。
樹皮に近い木表側ほど乾燥が早く先に縮むので反りが生じます。反り上がった木裏を表にすると、トゲが刺さりやすくなるため、人に触れる側は木表にするのが常識です。

●芯材(赤身)
木の年輪の中心を樹芯といいます。
その周りの赤っぽい色をした部分を「芯材」(しんざい)または「赤身」(あかみ)と言います。堅くて腐りにくく、虫に強いことから、主に構造材として使います。
●辺材(白太)
芯材の外側の白っぽい部分を「辺材」(へんざい)または「白太」(しらた)といいます。比較的節が少なく、木肌もやわらかいので加工がしやすく、主に内装材や下地材などに使います。
活かすも殺すも職人次第。
木と語り合う職人がいる
腕の立つ職人には木も信頼を寄せてくるのだろうか。
「ここに使ってほしい」と木が話しかけてくるといいます。

木遣いこそ、職人技。
「木遣い」によっては千年先まで建築物は残ります。それゆえに“本物の職人”ほど、存分に腕が振るえる木を自分の眼で確かめ、「本物の木を使って仕事がしたい」といいます。
●「木遣い」の賜物・・法隆寺
法隆寺は、当時の大工職人によって細やかな「木遣い」が施された結果、約1400年の歴史を経て今なお建ち続けています。昭和の大改修時に加えた木材は40%程度、残りの60%は創建当時のままだそうです。創建当時の古い木にかんなをかけたら、木の香りが立ち上がったそうです。

●本物の職人ってどんな人?
〇ものづくりに誇りを持ち、情熱のすべてをかける。愚直であるが意志は固くて強い。
〇経済効率より自分の持つ技術や技量を優先させ、常に一級品をつくり続ける。
〇経験の中で蓄積された知恵や工夫を活かし、納得できるまで決して妥協しない。
〇一級品・一流品、(すなわち本物)がわかる眼や心(心眼)を持っている。

シーズン1[一本木な話]
■その①はコチラ→木の家がなぜ良いか。
■その②はコチラ→偽ブランド注意報、発令。
■その③はコチラ→異文化と日本
シーズン2[木の利く話]
■その①はコチラ→新築病・シックハウス症候群
■その②はコチラ→結露と乾燥
■その③はコチラ→心も健康
次回シーズン3[木遣いの話]その②…「木の種類」です!